数多くのフランス製枕時計を取り扱っておりますが、構造・意匠･部品の特徴・果ては入手経路などを勘案しても、その製造元を特定できないものが間々あります。
この時計は機械の様式・エスケープメント・文字盤・更には特徴的な Corniche style のケースデザインなどなどで、明らかに Ｓａｉｎｔ-Nicolas-d'Aliermont 系の工房で 1800 年代後半に製造されたものと思われますが、何一つと言っていいほどその裏付けを確定できる痕跡が在りません。長々と記述しましたが、結局誰が何所で造ったのかは判らないのです。
オリジナルの cylinder escapement が装着され、繊細な手書きホーローの文字盤にも傷や皹などは有りませんが、トップのオーバルガラス部分に小さな皹・後面扉のガラス左上部に小さなチップが有ります。
週間誤差は＋−３ｍほどです。