Royal Amphora 製 ウォータージャグ
世紀末の異端の窯 アンフォラ は、1892年に Alfred Stellmacher
によりボヘミヤのTurnに構築されました。
Turnは当時のヨーロッパでも屈指の良質な磁土産出地であった為に、各地から腕の良い陶工達が集まっていました。当時全盛だったロココやネオバロック様式の細密な装飾で鍛えられていた
Alfred の技術は息子Eduard
に受け継がれ、やがて二人は独自の美的領域を構成し妖艶で精緻な造形を完成させてゆきました。日常性から一歩も二歩も踏み出した彼等の作風は当然のように注目を集め、各地の品評会や展覧会などでの受賞を通し、オーストリー・ハンガリー帝国の宗主ハプスブルクの公式の窯に指名されるに至りました。
Royal
Amphora の評価は Eduard
の繊細な才能が創り上げたといっても過言では無いように、初期の女性と花や水性生物などの組み合わせは、幻想的で不可思議な静謐さを込めて、今もなを輝きを失わずにいます。
この水差しは Eduard の作品で、彼独特の繊細で巧緻な技が、柔軟な温もりや妖しい美しさを見る者に感じさせます。
40年ほど前の Amphora
は、極限られた人々の調度の一つか数名の偏屈者の収集の対象に過ぎなかったかもしれません。ヨーロッパの高級骨董店のキャビネットの奥に、マイセンやKPMの背後でひっそりと佇んでいるのが常でした。しかしこの10年ほどの
Amphora
に対する評価の変容は何がもたらしたのでしょう?高級陶磁器が居並ぶキャビネットの最前列で、或いは単独でフットライトを浴びて煌く姿が、ニューヨークやロンドンで見受けられます。カリフォルニアには専門の収集館もでき、インターネットは価格を数十倍に吊り上げました。心に残るほどの名品を手に入れるのは、至難の事となりました。 |